中小企業診断士&システムエンジニアの日記

システムエンジニアとして企業で働く中小企業診断士が日頃感じたことを綴っていきます。

スマート工場の実現(1)

1.日本製造業高度化のキーワードはスマート工場


 日本の製造業は、「終焉」「衰退」などネガティブな表現がされることが多々あり、実際に多くの課題を抱えていますが、まだまだ自力も能力も有していると考えています。課題解決のため雑誌、ネットなどでは、「デジタル化」「Iot化」などのキーワードが示されています。しかしながら、現状の課題に対して、迅速に対応していくことが可能なのか危惧も感じます。
 今回、「スマート工場」という言葉を前提に、デジタル化やIoT化に取組み、いかにして自動化・効率化などを通じて、製造業の高度化を推進していくかについて、記載してみたいと思います。


スマート工場とIoT

 スマート工場という言葉が、最近よく言われるようになってきている。様々な国際展示会を開催しているリードエグジビションジャパン社が開催する展示会にも、2018年頃から「スマート工場EXPO」なる展示会も開催されている。ネットで、「スマート工場」を検索してみると、コトバンクには「高度なファクトリーオートメーション(工場自動化)を実現した上で、工場内の機器や設備を相互にネットワーク(インターネット)で、接続IoT(Internet of Things:設備と設備、設備と人をネットワークで接続する)することで生産革新を実現する工場」とある。ただ、この定義によってもたらされる効果を考えると、従来でも設備の自動化と設備と設備を連携させて、工場全体を効率化させることは行われてきている。何が違うかと言うと、IoTを活用するということである。
 では、IoTとは何なのか?ネットを検索すると「モノをインターネットに繋ぐこと。繋ぐことで、相互に情報交換すること」などと記載されているが、わかったような、わからないような、曖昧な感じである。要するに、IoTとは技術的な要件であり、これを使えば、劇的に良いことが起こるというものではない。つまり、インターネットに接続する技術要件(プロトコル、アクセス方法など)に対応した機器や装置を用いて、インターネットに接続することなのである。だから、どうするという部分は語られない。


これまでの取り組み

 従来でも、機器や設備間を自動的に連携させて、生産革新を達成させることは行われてきた。例えば、前工程の製造状況をもとに、後工程の製造方法を決めるような場合、スマート工場化されていない状況であれば、前工程の担当者が後工程の担当者に製造結果を伝え、後工程の担当者が伝えられた内容から製品を製造する設備に製造方法を指定するという方法になる。この場合、前工程終了から後工程の製造開始までの間に、人が設備に製造方法を指定するための時間が必要になる。前後工程が連続生産している場合には、後工程の遅れによって生産を停止したり、前後工程間に置き場を作ったりしなければならなくなる。設備間で自動連携できれば、人手作業に比べて大幅な時間短縮が図られることなり、結果、大幅な生産性の向上が図れることになる。
 実現させるためには、設備間の連携が行えるようにしなければならない。そのため、高額な費用をかけ、設備間に電話回線やLAN回線を敷設し、さらに情報の受け渡しができるように設備の入替えや既設設備の改造を行うことが必要であった。ただ、導入は、特定の業種に限られてる。理由は、非常に高価になることが多く、費用対効果が得られないためである。


IoT活用のメリット

 しかしながら、IoTに対応した機器を用いる場合は、導入するためのハードルは低くなる。 IoTによってもたらされた効果として、機器が安価になったことである。ネットワークへの接続や機器間の情報受渡方法が標準化され、従来では異なるメーカー間の機器接続は、両者の仕様を合わせるという手間がかかり、費用もかかったが、IoT対応機器では容易に接続できる。そして、 様々なメーカーが工夫したIoT対応機器を開発し、安価な製品として提供してくれている。これらをうまく組み合わせ、活用すれば、いい仕組みが安価に構築可能となるのである。
 若干、言葉に踊らされているとは感じるが、IoT化という流れに乗らない手はない。これまで、生産性の向上や製造の高度化を情報技術を活用して、取り組もうとしたが、導入費用が高額になることで断念したような場合は、再検討してみてもいいのではないかと考えられる。ただし、IoT化する場合は、様々な機器を組み合わせて、仕組みを構築することから、これまでのように大手ITベンダーなどにお任せというわけにはいかない。自分たちが主体となり、目的や達成目標を明確にし、考えていくことが必要である。
 では、スマート工場実現のために何をすれば良いのか?これが以外と語られていない。ある意味、スマート工場化は、企業の生産ラインの高度化の手段であり、企業秘密の範疇になるものであるから、外部に活用方法などが出てこないのも当然である。
 スマート工場に関して、導入した事例が、日経ものづくり2019年4月号「日本の最新スマート工場」に掲載されていたので、この記事について、考察してみたいと思う。

 下記、図-1にスマート工場とIOT化のイメージを示す。

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図-1 スマート工場とIOT化


次の記事は、 スマート工場の実現(2)日経ものづくり『日本の最新スマート工場』からの考察